なぜ届け出の制限は課税期間の“変更”のとき、例外規定が使われるのか

やっぱり総合問題のノーミスは難しいなぁ…。どっかどーか間違えてしまう。。。

さて表題の内容。
実力テストも迫って、今日ようやっと課税期間の理論を完全理解できました。特に、タイトルにした箇所で相当悩んだのでその結論を書いておきます。一応納得のいく説明にはなったと思っています。
問題の規定は消費税法19条5項の括弧書き


5  第一項第三号から第四号の二までの規定による届出書*1を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、これらの規定による届出の効力が生ずる日から二年を経過する日の属するこれらの規定に定める期間の初日(同項第三号又は第四号の規定による届出書を提出した事業者が同項第三号の二又は第四号の二の規定の適用を受けようとする場合その他の政令で定める場合には、政令で定める日)以後でなければ、同項第三号から第四号の二までの規定による届出書*2(変更に係るものに限る。)又は第三項の届出書を提出することができない。

ちなみに該当箇所の「政令で定める日」


2  法第十九条第五項 に規定する政令で定める場合は次の各号に掲げる場合とし、同項 に規定する政令で定める日は当該各号に定める日とする。
一  法第十九条第一項第三号 又は第四号 の規定による届出書を提出した事業者が同項第三号の二 又は第四号の二 の規定の適用を受けようとする場合 同項第三号 又は第四号 の規定による届出の効力が生じた日から二年を経過する日の属する月の初日
二  法第十九条第一項第三号の二 又は第四号の二 の規定による届出書を提出した事業者が同項第三号 又は第四号 の規定の適用を受けようとする場合 同項第三号の二 又は第四号の二 の規定による届出の効力が生じた日から二年を経過する日の属する月の前々月の初日

※補足
上記の第一号は3月→1月の変更のこと、二号は1月→3月の変更のこと

この規定、よく見なくても無理無理なのが分かります。「月の初日」「月の前々日の初日」って…。

わざわざこんな無理無理な規定を作ったのも、絶対に付け加えなきゃならない必要性があったからこそ(のはず)。つまり、原則的な取扱い(届出の効力が生ずる日から2年を経過する日の属する期間の初日以後でなければ提出できない)では不都合が生じるから、その不都合を解消する必要性からこの例外規定があるのです。

まずは原則を確認

【3月→不適用】

         ┏→効力発生(提出日の属する期間の翌期間の初日以後)
  1 2 3┠────2年────────────────┓ 
┼╋─┼─┼─╋─────╋ 〜〜 ╋─────╋─┼─┼─○─┼─┼─╋
  ▲    ☆                ▲     ★
 変更届出               2年を経過する日(★)の属する“期間”の初日(▲)
※╋が3月ごとの区切り、┼が1月ごとの区切りになっています。

課税期間特例選択・変更届出書の効力は提出日の属する期間の翌期間の初日以後なので、届出書を1〜3のどの月に出したとしても、「2年間」の起算日は必ず☆の日になります。なので2年を経過する日は必ず★の日になります。そして、次の届出書の効力発生の日その期間の翌期間初日なので、図の○の日となります。変更の規定は見て明らかな様に2年間継続適用されています。

【1月→不適用】

   ┏→効力発生(提出日の属する期間の翌期間の初日以後)
  1┠────2年────────────────┓ 
┼╋─┼─┼─╋─────╋ 〜〜 ╋─────╋─○─┼─╋─┼─┼─╋
  ▲☆                    ▲ ★
 変更届出               2年を経過する日(★)の属する“期間”の初日(▲)

こちらも見ての通り、2年間継続適用されています。
以上をふまえて本題に↓。

3月ごとの期間を1月ごとの期間に〜

こちらの方はまだ理解しやすかったです。
3月ごと→1月ごとの変更は次ようのようになります。

         ┏→効力発生(提出日の属する期間の翌期間の初日以後)
  1 2 3┠────2年────────────────┓
┼╋─┼─┼─╋─────╋ 〜〜 ╋─────╋─┼─┼─○─┼─┼─╋
  ▲    ☆                    ▲ ★
 変更届出                2年を経過する日(★)の属する“月”の初日(▲)

課税期間特例選択・変更届出書の効力は提出日の属する期間の翌期間の初日以後(同上)なので、届出書を1〜3のどの月に出したとしても、「2年間」の起算日は必ず☆の日になります。なので2年を経過する日は必ず★の日になります(ですから1〜4どの月に提出したとしても結果に変わりはないので図示は省略)。そして、次の届出書の効力発生の日その期間の翌期間初日なので、図の○の日となります。見て明らかな様に2年間継続適用ができています。

ここで仮に、原則通り届出の効力が生ずる日から2年を経過する日の属する期間の初日とするとどうでしょう?

         ┏→効力発生(提出日の属する期間の翌期間の初日以後)
  1 2 3┠────2年────────────────┓
┼╋─┼─┼─╋─────╋ 〜〜 ╋─────╋─○─┼─╋─┼─┼─╋
  ▲    ☆                ▲     ★
 変更届出               2年を経過する日(★)の属する“期間”の初日(▲)

上記のようになるはずです。
見ると分かるように、次の届出書の効力発生の日である★の日よりも、次の届出書の効力発生の日である○の日が先に到来します。これでは2年継続適用となりません
だから2年を経過する日の属する“月”の初日なのです!


1月ごとの期間を3月ごとの期間に〜

こっちはもう少しいろいろ考えないと行けないからちょいめんどい。

       ┏→効力発生(提出日の属する期間の翌期間の初日以後)
  1 2 3┠────2年────────────────┓ 
┼╋─┼─┼─╋─────╋ 〜〜 ╋─────╋─┼─┼─○─┼─┼─╋
      ▲☆                    ▲ ★
     変更届出        2年を経過する日(★)の属する“月の前々月”の初日(▲)

3月ごとの期間(に区分した場合の)の最後の月に提出した場合は上記のようになります。これを3月→1月と同様に原則通りに適用すると、

       ┏→効力発生(提出日の属する期間の翌期間の初日以後)
  1 2 3┠────2年────────────────┓ 
┼╋─┼─┼─╋─────╋ 〜〜 ╋─────╋─┼─┼─○─┼─┼─╋
      ▲☆                ▲     ★
     変更届出           2年を経過する日(★)の属する“期間”の初日(▲)

これを見る限りではな〜んの問題もないように思えます。きちんと2年継続適用もしていますし。
しかし、次のような場合はどうでしょう?同様に原則の規定を当てはめてみます。

   ┏→効力発生(提出日の属する期間の翌期間の初日以後)
  1┠────2年────────────────┓   ┏→次の効力発生 
┼╋─┼─┼─╋─────╋ 〜〜 ╋─────╋─┼─┼─○─┼─┼─╋
  ▲☆                    ▲ ★
 変更届出               2年を経過する日(★)の属する“期間”の初日(▲)

次の届出書の効力発生の日その期間の翌期間初日という規定には例外はありませんから、次の届出書の効力発生の日は図の○の日です。3月ごとの期間(に区分した場合の)の最後の月に提出した場合には、次の効力発生日(○)が2年を経過する日(★)の左側に来てしまっています。つまり、次の効力発生日までの2年超の間継続適用していることになります。

法の趣旨としては「最低2年は変えちゃダメよ」ということであるのに、原則規定を適用すると強制的に2年超適用させられる。これでは納税者が不利です。
なので、これを回避するために前々月の初日という形にしているのです(きっと)。

ちなみに前々月の初日とすると、継続適用の期間が2年に満たないこととなりますが、まぁ納税者有利を考えてということとでしょうか。
さらにもうひとつちなみに、「前々月の初日」なのは、1の期間に提出した場合の不具合を解消するためです。「前月の初日」だと2の期間に提出した場合の不具合は解消できても1の期間に提出した場合の不具合が解消できないのです。
こんな理由から「前々月の初日」なんですね!


よーやくこれですっきりしたo(^▽^)o

・・・って、こんなの消費税の実務書や解説書を見れば書いてあるだろうにということを今になって気が付いた。。。

*1:受験上は「課税期間特例選択・変更届出書」

*2:受験上は「課税期間特例選択・変更届出書」、「課税期間特例選択不適用届出書」